幼少期から日本趣味の祖父が作った庭、掛け軸や書を見て育つ。特に庭や水墨画が好きであった。また、美しいものに対する憧れが強く、詩や文学も好きで夢見がちな子どもであった。高校時代に日本画を観て、その美しい絵肌に惹かれ日本画を志す。東京藝術大学日本画科へ進み卒業する。
結婚後、都会から引っ越した先の長野県は標高が高く、植物とりわけ花々が美しく咲く所であった。それらは野趣に富み、信じられない程の鮮やかな発色と飽きることのない姿形で、生き生きとした生命感を見る者に与える。その美しさに感動し、再び絵を描くことを決意する。
思い入れのある自分で育てた花々を、和紙に岩絵具、墨、金銀箔、金銀泥、メディウムには膠を使って描く。その技法は日本では日本画というローカルな名で呼ばれているが、膠絵は紀元前から世界中で見受けられた原始的な絵画である。その表現の幅は広く無限の可能性があるが、端正な技術の習得には職人の様に地道な修練が必要である。
これまで植物を実験的に多様な表現で絵にしてきたが、最近はその表現の中に日本の侘び寂び、もののあはれ、雅、幽玄等を描き込みたいと思うようになった。それは大学卒業後に訪れたインド、イタリア、フランスで様々な芸術作品を観て、逆に日本人としてのアイデンティティーに目覚めたからである。今はとりわけ日本絵画の琳派等の金銀箔の装飾性に興味を持っている。
これまでグループ展や個展で作品を発表し、2018からはInstagramにアップしている。私の絵が、観て下さる方々へなにがしかの歓びや幸福感といったプラスの感覚を与えることが出来たらこの上なく嬉しく思う。